美容室併用の住宅を新築で建てさせていただきました。きっかけは、弊社の社員がゼフィール様に通っていたことでした。以前はすぐ近くのビルのテナントで美容室を営業されていましたが、お店も住居も手狭になってきたとのことで、新店舗新築のご相談をいただきました。

その後、近くに土地をご購入され話が具体化していき、いくつかご提案をさせて頂いたプランの中からナチュラルな雰囲気のものを気に入っていただきました。1階の店舗部分に大きな空間が必要になるため鉄骨造で計画しましたが、これは木造だと強度の都合でどうしても途中に柱が必要になってしまうからです。また、お客様用の駐車場の確保が必要なため、建物はシンプルな2階建てになりました。

オーナーである松木様のご要望は、「あまり美容室らしくなくアットホームな感じにしたい」とのことでしたので、内装と外装は自然な風合いの塗り壁にすることになりました。…ここまでは良かったのですが、驚いたのは、なんとオーナー自ら塗り壁の作業をするということになったのです。

今までのお客様の中でもご自分で塗ってみたいという方はいらっしゃいましたが、部屋の一部分程度でした。今回は、店舗部分の壁と天井全てを漆喰（しっくい）で塗り、外壁のジョリパットという塗り壁材もご自分でやりたいというご要望でした。プロの左官職人でも大変な作業を本当にお1人で大丈夫なのだろうか、工程通りに進めることができるのだろうか…とても不安なまま着工したのでした。

工事は順調に進み、いよいよ塗り壁の工程に差し掛かってきました。最初はご経験がないためか、さすがに苦労をされていましたが、すぐに馴れたご様子で思ったよりも順調に塗り壁作業が進んでいきました。元々ご自分で内装の作業をしたりするのがお好きなようで、終わってみるととてもきれいな仕上がりで、素人仕事とは思えない出来映えでした。美容師さんは手先が器用だということが改めてわかった一面でもありました。（ここまでの方はそうはいらっしゃらないとは思いますが…。）

現在は私もゼフィール様のお客さんの1人です。オーナーの松木様を始めご家族、スタッフの皆様がとても暖かい方ばかりで、いつお邪魔しても癒されております。そして9年経った今でも、店内の漆喰は当時のままのコテ跡が残った真っ白な姿で出迎えてくれます。現在弊社では漆喰を使用した住宅を数多く施工し、お客様自らの塗り作業も提案していますが、その原点がゼフィール様なのです。